特集 職場の健康づくり
職場の健康評価の指標
上畑 鉄之丞
1
Tetsunojyo UEHATA
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.462-466
発行日 1989年7月15日
Published Date 1989/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207970
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■はじめに
産業労働者をとりまく環境は,近年の高度情報化・技術革新や国際化の進展にともなって大きく変化しつつある.それとともに,労働者の業務に関連した健康障害も,特定業種での職業中毒性疾患やじん肺,振動障害などに加えて2次産業,3次産業全体で問題となる静的筋緊張による頸肩腕障害や非災害性腰痛,さらに,最近ではOA化の進展によるVDT機器の眼障害やテクノストレス,職業性ストレスとの関連での過労死や精神疾患など多くの課題が生まれている.一方,労働安全衛生行政上でも,就労人口の高齢化や産業構造の変貌を踏まえて,新たな職場の保健対策を展望し,従来の疾病対策中心から積極的な健康づくりへと対応を一歩進めており,1988年の労働安全衛生法の改訂をもとに,産業医による健康測定や健康指導票の発行,運動指導員や栄養指導員の養成,心理カウンセラーの配置などを通じて,労働者個人の自主的健康づくりへの方向づけを示しており,職場の健康管理体制も転換期を迎えつつある.
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