特集 くすりと公衆衛生
薬剤師の業務と将来
小宮 宏宣
1
Hironobu KOMIYA
1
1日本薬剤師会
pp.383-386
発行日 1989年6月15日
Published Date 1989/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207949
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■薬剤師の職域と業務
薬剤師の任務は,調剤,医薬品の供給その他の薬事衛生をつかさどることによって,公衆衛生の向上及び増進に寄与し,もって国民の健康な生活を確保することにあることが薬剤師法第1条に規定されている.この規定からもわかるとおり,薬剤師の活躍している職域は広く,その業務は多様化している.昭和61年の全国の届出薬剤師総数は,135,990人(人口10万対薬剤師数は111.8人)となっているが,そのうち,病院または診療所において調剤に従事する者が25.0%,薬局の勤務者が19.4%,薬局の開設者が12.8%等となっており,薬局・医療施設に従事する者は,全体の57.8%を占めているにすぎない.薬剤師は,この他に,医薬品関係でも,製薬会社において新薬の開発,医薬品の製造品質の管理あるいは販売に係わる学術情報等の仕事に従事し,また,医薬品卸業においても医薬品の品質管理,学術情報等の仕事に従事している.さらに,臨床検査,衛生検査に従事する者,衛生行政,食品関係,化粧品,化学工業等に従事する者等がおり,その職域と業務は多岐にわたっている.
しかし,薬剤師の主要業務は,調剤と医薬品の供給関係の業務にあり,これらの業務が医療と密接な係わり合いを持ち,薬剤師業務の中でも極めて重要なものである.
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