特集 長寿社会と公衆衛生
沖縄における「長寿者—環境系」の究明を目指して—農村地域の調査事例
平良 一彦
1
,
宮城 重二
1
TAIRA・Kazuhiko
1
,
MIYAGI・Shigeji
1
1琉球大学医学部保健学科保健管理学教室
pp.812-815
発行日 1988年12月15日
Published Date 1988/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207826
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■はじめに
敬老の日を前に,「全国長寿者名簿」が厚生省から発表された.沖縄県は今年度中に新たに百歳になる者が58人(男6人,女52人)で,これら新百歳を加えた百歳以上老人人口は146人となる.これを人口10万人当たりの人数で示すと本県は10.01人で,2位の高知県(6.19人)を大きく引き離し,今年もトップの座を守り続けている.同様に平均寿命にしても松崎1)が指摘しているように,"伝統的長寿県"として常にトップグループを形成している.
一人当たり県民所得や医療供給水準は全国平均の70%程度に過ぎないにもかかわらず,沖縄県はなぜ長寿なのか興味深いところであるが,筆者らは目下,沖縄の長寿の主体的要因や環境要因を探ろうと多角的な視点からアプローチを試みている.本稿では継続的に調査を進めている対象地域の概要と,そこに居住する90歳以上の高齢者の生活と健康について概説する.
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