特集 長寿社会と公衆衛生
長寿科学と公衆衛生
新井 宏朋
1
Hirotomo ARAI
1
1山形大学医学部公衆衛生学講座
pp.802-806
発行日 1988年12月15日
Published Date 1988/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207824
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■はじめに
「長寿科学と公衆衛生」という課題をいただいて複雑な気持ちである.なぜかというと,長寿科学という言葉が今日の流行語になってもてはやされている反面,我々が長年親しんできた公衆衛生という言葉が,この頃ではいささか影が薄くなっているからである.厚生白書(昭和62年版)の「長寿科学研究の振興」の項目で引用されているシルバーサイエンス研究のフローチャート(図1)1)を見ても,疫学研究という言葉はあるが公衆衛生という言葉はどこにもない.有名なC. E. A. Winslowの公衆衛生の定義はどこにいってしまったのだろうか? 長寿科学とか健康科学とかいう新しい言葉の影に隠れて,欠落していくものがあるのではないだろうか? ということを考える必要があろう.
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