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連載講座 個体の生と死・35
ヒトの生物学的死と長寿科学
Biological death of human being and longevity science
祖父江 逸郎
1,2
Itsuro Sobue
1,2
1名古屋大学
2愛知医科大学
pp.254-259
発行日 2005年6月15日
Published Date 2005/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100396
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高齢社会を迎え様々のことが変ってきたが,中でもとりわけ注目され,関心も深く,話題となっているのは,死をめぐる問題である。高齢が現実のものとなり,高齢で過す期間の延長と共に,人間のもつ種々の不安が表面化してきた。すべての人間はやがて死を迎え,この世を去るわけで,避けて通れないのが死であることは当然よくわかっている。実際には,死に至る道程はどうか,その過程での苦しみ,死後の家族はどうなるのか,死後の様々の変化はどうか,など未知のことがあまりにも多いだけに,やたらに不安がつのるのは当然であろう。
ヒトは生物である限り,その死も生物学的なもので,したがって死は生物学的側面から直視すべきであるが,同時に社会の一員としての存在でもあるため,社会的な複雑な関係の中で死が考えられる。ヒトの死をキーワードとした場合,関連する領野は幅広く,裾野は際限なく広がっていく。したがって,広汎な領域にまたがり,学際的な広がりをもつ長寿科学とは重なりが大きく,密な関連をもつ。こんなことを頭に浮べながら,ヒトの生物学的死と長寿科学についてまとめてみた。
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