Japanese
English
総説
軸索輸送
Axonal transport
小池 宏之
1
Hiroyuki Koike
1
1東京都神経科学総合研究所神経生理学研究室
1Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences
pp.281-293
発行日 1972年12月15日
Published Date 1972/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902940
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はじめに
神経細胞(ニューロン)は細胞体と細胞体からの突起・軸索とからなる。長い軸索の存在がニューロンの形態上の最大の特徴であり,情報伝達というニューロンの機能の上からも重要な意味を持つ。
このニューロンの構造は,細胞としての中心的存在である核と細胞質を有する細胞体が全体の中央にではなく,一方の極に片寄つて存在していることを意味する。ニューロンの生存に不可欠の因子が細胞体に集中していることは疑う余地はなく,神経の再生現象一つをみても明らかである。つまり,神経線維・軸索が切断されると,切断された末梢側,すなわち細胞体から遊離された軸索は,変性しその機能を失い,死滅してしまうが,切断部より中枢側,すなわち細胞体につながる軸索は,切断直後に一過性の変性反応を受けるが,やがて切断端より軸索が再生されて伸び,条件が整えば,最終的には以前の支配域に達し,その機能を回復する(第1図A-E参照)。
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