保健行政スコープ
今後の健康づくりと課題
村上 茂樹
1
1厚生省保健医療局健康増進栄養課
pp.138-139
発行日 1988年2月15日
Published Date 1988/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207627
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健康づくりの3大要素は「栄養」と「運動」と「休養」であるとされている.従来,「栄養」については「国民栄養調査」,「日本人の栄養所要量」,「食生活指針」,「加工食品の栄養成分表示制度」,「肥満とやせの判定法」など種々の施策・目安が示され,マンパワーについても栄養士・管理栄養士がその専門家としての任を担うとともに食生活改善推進員がボランティアとして各地の地域特性に根ざした活動を行ってきた.が,一方,学問的な遅れもあり,「運動」や「休養」については施策らしい施策はとられておらず,マンパワーも適切な養成がなされていないのが実情である.
近年,適度な運動が血圧を下げたり,血中HDLコレステロールを増加させるなど,健康づくりのために有効であることがわかるようになり,また,国民の間でも,余暇時間の拡大に伴ってジョギングやエアロビック体操など,健康づくりを目的として運動を行う人が増えてきている.さらに,アスレ・ヘルスクラブといった民間の運動施設も年間200施設のペースで急増するようになってきている.しかし,これに伴って運動中の突然死の問題や,過度の運動による障害など,運動に起因する問題も提起されるようになってきており,しっかりとした健康管理に基づいた適切な運動を普及することが必要となっている.
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