対談・連載
公衆衛生の軌跡とベクトル(3)—1960年代を中心に
橋本 正己
1
,
大谷 藤郎
2
1元埼玉県立衛生短期大学
2厚生省社会保険審査会
pp.867-877
発行日 1987年12月15日
Published Date 1987/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207589
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人間の健康と社会保障のあり方
大谷 今回と次回は1960年代を中心に「福祉元年」と言われた1973年までの激動の時代について話し合いたいと思いますが,前回の時代で重要な一つである『厚生白書』を,誌面の都合ではずしましたので,まず話題にしたいと思います.
昭和32年に発表された『厚生白書』には貧困とは何か,ということが述べられており,読んで非常に感激しました.それが厚生省へ入るひとつの契機になったのですが,昭和20年代では,社会保障は貧富の格差の是正ということを重視してそのために,「すべての人に平等な医療を保障する.更に,すべての人に公衆衛生の恩恵を与え健康生活ができる」ような観点で,国の税金の所得再配分にウエイトがおかれるのが福祉国家の基本ではないかということだったのではないでしょうか.
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