特集 運動と食生活
生活活動強度と栄養所要量
橋本 勲
1
Isao HASHIMOTO
1
1国立栄養研究所運動生理研究室
pp.610-615
発行日 1987年9月15日
Published Date 1987/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207533
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■はじめに
健康づくりのために運動をする場合に,栄養素をどの程度,どのようにして摂取すべきかを考えることは非常に重要なことである.運動をするかしないかによってエネルギーの消費量に大きな差が生じ,それによって栄養所要量が影響されることによる.糖質,脂肪,たん白質の三大熱源栄養素は,生体の生命活動の燃料としてばかりでなく,正常な発育,発達や健康の保持と増進のために毎日摂取する必要がある.またエネルギー源とはならないミネラル,ビタミン類についても同様のことがいえる.各栄養素について1日に摂取すべき量の目安を,栄養所要量と呼んでいる.この所要量は年齢,性,身体の大きさ,身体活動量,自然環境条件によって影響される.したがって,各個人についての適切な栄養所要量を決定するためには,いま述べたところの諸条件について考慮することは大切なことである.
これまで,各職種を労作強度別に分類することによって身体活動量の程度を決めることができたが,昨今の省力化,生活様式の多様化によって従来の方式では身体的活動量を評価することが困難になり,日本人の栄養所要量の第三次改訂を実施するに当たって「生活活動強度」の概念を導入した.その上,健康の維持増進のために「付加運動量」の概念をも取り入れた.
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