特集 運動と食生活
健康・体力づくりのための運動と食事の接点
鈴木 正成
1
Masashige SUZUKI
1
1筑波大学体育科学系
pp.616-620
発行日 1987年9月15日
Published Date 1987/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207534
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■「運動・休養・栄養」という保健行政の三本柱について
運動と食生活に関する本特集において,筆者に与えられた原題は,「健康体力づくり……運動と栄養の接点」というものであったが,表題のように栄養を食事に変えさせていただいた.実は運動と栄養という用語に,現代の健康思想や食思想のさまざまな混乱の原因があり,保健行政にあって医学と体育,栄養と運動などがうまく噛み合わない原因があると考えるからである.
栄養とは食物に含まれる栄養成分が,体内において利用されていく過程と,それが生体にもたらす効果をとらえる生体現象であるといえる.運動や休養は,摂取した栄養素の体内利用(代謝)のされかたに影響を及ぼし,栄養効果を左右する生活条件である.したがって,栄養は運動や休養と同列に並べられるべきものではない.その証拠の一つに,保健行政の三本柱のそれぞれを「する」という動詞にして呼ぶとき,「運動する」,「休養する」とは言えるが「栄養する」という用語がないことが挙げられる.当然のことながら「運動・休養・栄養」は「運動・休養・食事」であるべきであり,「栄養する」ではなく「食事する」という用語で動詞化されるべきものである.
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