今月の表紙 帰ってきた寄生虫シリーズ・24
ノミ・シラミ
藤田 紘一郎
1,2
1東京医科歯科大学大学院
2国際環境寄生虫病学
pp.1616-1617
発行日 2001年12月15日
Published Date 2001/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904990
- 有料閲覧
- 文献概要
日本には約80種のノミが分布し,そのなかでヒトノミ(Pulex irritans),ネコノミ(Ctenoce-Phalides felis),イヌノミ(C.canis),ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)が衛生上重要である.ネコノミはネコだけでなくイヌやヒトにも寄生し,現在,日本でみられるノミはほとんどがネコノミである.成虫の体長は雄1~2mm,雌2~3mmで,褐色,扁平で翅はなく,脚が発達している.頭部の前縁はゆるく湾曲し,前胸部と頬部に櫛棘がある(図1a, b, c).宿主のネコの毛の間で交尾し産卵する.卵は床や地上に産み落とされ,数日で孵化する.幼虫は1~2週間で蛹となり,その後約1週間で成虫になる.生存の割合をみると成虫5%,卵50%,幼虫35%,蛹10%なので,駆除するためには,ネコやイヌに昆虫発育阻止作用のある薬剤を使用したり,よくいる場所を定期的に清掃,殺虫剤処理する必要がある.ノミ刺症はノミの唾液に対するアレルギー反応で,激しい掻痒感や浸潤性紅斑などがみられる(図2).刺される頻度が多くなると,遅延型の反応から即時型反応を生じ,徐々に免疫を獲得して無反応となる.ネコノミ症は膝から下に好発する.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.