海外事情
ロンドンの老人施設事情
作田 勉
1
Tsutomu SAKUTA
1
1慶応義塾大学医学部精神神経科
pp.221-223
発行日 1984年3月15日
Published Date 1984/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206840
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■はじめに
わが国の高齢者人口は年々増加し,高齢者対策をどうするかがわが国の福祉行政の重要ポイントになっている.そのため,常時介護を要する高齢者を収容する特別養護老人ホームの設置に厚生省は力を注いでいる,そして全国各地に次々と立派なビルディングが建ち,手厚い取り扱いがされている.これは日本が老人福祉の分野では後進国であり,かつ経済大国として資金は余裕があるからであるといえる.しかしこのまま金をふんだんに使っていった場合,やがてその額は巨大なものとなり,行き詰まりを来たす可能性は大であるといえよう.
現にイギリスでは,福祉予算が削減され,老人ホームへの資金流入は緊縮化されつつある.第二次世界大戦後,労働党内閣によって次々と打ち出された福祉政策が,低成長時代での今日では重荷となっているわけだ.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.