綜説
健康診断および健康管理についての一考察—定期健康診断で発見された多発性骨髄腫を中心にして
城戸 照彦
1
,
山田 裕一
1
,
石崎 昌夫
1
,
本多 隆文
1
,
釣谷 伊希子
1
,
能川 浩二
1
Teruhiko KIDO
1
,
Yuichi YAMADA
1
,
Masao ISHIZAKI
1
,
Ryumon HONDA
1
,
Ikiko TSURITANI
1
,
Koji NOGAWA
1
1金沢医科大学衛生学教室
pp.834-838
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206797
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■はじめに
近年,予防医学に対するニードは行政の側からもそれを受ける側からも高まりをみせている.その結果現在各種の健康診断(以下健診と略記す)が実施されている.たとえば,職場においては定期健診,特殊健診,じん肺健診以外にも,がん検診等が任意に実施されている現状にある.しかしこれらの健診を効果的に実施するためには受診者の全身を多年にわたって,体系的かつ継続的に管理できる健診を追究していかねばならない.
今回,著者らが産業医として健康管理を担当している職場において,無症状の段階で多発性骨髄腫(以下骨髄腫と略記す)の症例を発見した.しかも,発症以前からの検査成績も保存されていて,骨髄腫のいわばnatural historyが追える点でも貴重な症例であったので,これを提示しつつ著者らの実施している健診システムについて報告すると共に,現状の健診がかかえている問題点と今後の発展方向について論ずる.
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