研究
定期健康診断時の蛋白尿について—特に九州大学保健管理センターでの検尿法とその成績を中心として
井上 幹夫
1
,
高杉 昌幸
2
,
吉田 紗智
1
,
宇都宮 弘子
1
1九州大学保健管理センター
2九州大学医学都第三内科
pp.509-512
発行日 1971年8月15日
Published Date 1971/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204319
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はじめに
近年,若年者結核の減少と大学における健康管理に対する関心の増加にともない,精神衛生や心・腎疾患,糖尿病などの内科的慢性疾患などが健康管理の対象として重視されるようになった.ことに最近,検尿試験紙の出現により簡単に短時間で多人数の検尿ができるようになり,定期健康診断時に検尿を実施する職場や学校が多くなっている.
しかし,このような集団検尿で発見された蛋白尿の診断的な意義や予定の見通しなどについては不明な点の方が多い.健康管理業務をすすめるためには,検尿によってスクリーニングされた尿蛋白陽性者に対して精密検査をおこない,個人ごとに異常の有無・程度を明らかにして,医療措置や就学上の指導をしなければならない.ところが,これまでの蛋白尿の研究は,主として病院での患者を対象として,尿蛋白の化学的免疫学的性状,発生機序,腎の形態的異常との関係などについておこなわれており,健康管理の面から蛋白尿の問題を疫学的に捉えたものはきわめて少なく,学生の蛋白尿陽性者の健康管理について指標となるべきものがないのが現状である.
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