調査報告
近世後期近江農村の生活構造と月別出生数
大柴 弘子
1
Hiroko OOSHIBA
1
1信州大学医療技術短期大学
pp.839-845
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206798
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■はじめに
出生,死亡および病気の諸相は,その地域の社会生活を背景として存在することはいうまでもない.それらに関する研究報告は戦前,とくに明治年間からそれ以前の時代になるとほとんどなく不明な点が多い.この研究は,主に昭和30年代以前の2毛作米作地帯の純農村である近江地域を対象に,生活と出生・死亡,病気の状況を明らかにすることを目的として始めた.対象となる時代は,1955年(昭和30)以前で,上限は文書資料や伝承などから生活状況が確かめられる,およそ1700年代までとする.調査地は滋賀県野州郡野州町南桜,北桜,妙光寺の3部落である.ここでは1800年代当時およびそれ以後の南桜における月別出生数の実態を明らかにし,その結果が当時の生活構造と,どう関わっていたかを考察する.
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