特集 救護システムと救急医療
厚生省の救急医療対策
矢野 周作
1
Syusaku YANO
1
1厚生省医務局指導助成課
pp.303-307
発行日 1983年5月15日
Published Date 1983/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206695
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■はじめに
我が国の救急医療対策は,昭和30年代後半から昭和40年代にかけての急激な自動車普及に伴って生じてきた交通事故傷病者に対する対策から出発している.このような傷病者に対しては可及的すみやかに,傷病の態様に応じた適正な治療を施す必要があることから,主に外科系の初期治療を担当する「救急告示病院・診療所」が「救急病院等を定める厚生省令」に基づき都道府県知事から告示され(表1),さらにそれらの中から,脳外傷等の重症患者にも対処できるような高度の診療機能をもつ「救急医療センター」の整備が行われてきた.
しかし,昭和40年代から,社会的経済的要因による核家族化の進行に伴って増加してきた内科・小児科系疾患に対する救急医療対策も望まれるようになり,とくにこれらの一般傷病患者に対する休日および夜間のいわゆる診療時間外の医療の確保と「重症患者のタライ廻し」防止対策が重要になってきた.このため,新たに救急医療対策を策定し,昭和52年度からその計画的整備を推進してきたところである.
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