特集 難病妊産婦のケア
厚生省の難病対策
佐藤 敏信
1
1厚生省保健医療局疾病対策課
pp.537-543
発行日 1994年7月25日
Published Date 1994/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903331
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難病とは
“難病”という言葉は一般にかなり浸透しているが,“難病”に対する明確な定義はない。いわゆる“不治の病”に対する社会通念として用いられてきた言葉である。昭利30年代以降,日本人の生活が豊かになり,感染症から成人病へと疾病構造が変化していく時代背景のなかで,従来,対策のなかった患者数の少ない“不治の病”に対し,厚生省は難病対策として取り組み始めた。
“難病”の歴史をたどると,1958(昭和33)年頃から原因不明の神経病として散発が認められていたスモンが,1967年から68年にかけて全国規模で多発し大きな社会問題となった。このスモンに対する研究体制の整備が契機となって,いわゆる難病に対する関心が高まり,新たな社会的対応が要望されるようになってきた。今日の難病対策の発端となった1つに,スモンの登場があったのである。
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