特集 肺がん
肺がん対策への課題と提言
三宅 浩次
1
Hirotsugu MIYAKE
1
1札幌医科大学公衆衛生学教室
pp.156-160
発行日 1983年3月15日
Published Date 1983/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206662
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20世紀後半に世界的大流行を示した疾患として歴史にその名をとどめるものの第1に,私は肺がんを挙げたい.インフルエンザも確かに世界的流行病ではあるが,その波は急に高まり,急に消える.それに比べ肺がんは大きなうねりであって,死亡総数はイソフルエンザを上回る(日本では1963年以来大差).そして,この流行病が喫煙という人類の嗜癖によって大部分説明できるという点でも奇異な疾患である.まさに今やその撲滅を急がなければならない疾患である1,2).しかしこの大きなうねりは一朝一夕では潰れない.その対策は科学的次元から社会・文化的さらには政治・行政的次元にまで広げなければ果たしえない種類のものである.
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