特集 肺がん
肺がんの早期発見の現状と集検への応用
成毛 韶夫
1
Tsuguo NARUKE
1
1国立がんセンター病院外科
pp.139-146
発行日 1983年3月15日
Published Date 1983/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206660
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■肺がん対策上の課題
最近わが国の死亡順位の第1位にがんがなったが,その中でも特に肺がんが注目されている.その理由は肺がん疑診者に対する確定診断技術は著しい進歩を遂げ,ほぼ完成に近づいているにも拘わらず肺がんによる死亡数が急増しているからである.胃がんや子宮がんが検診などの成果もあって減少する一方肺がんは10年前に比べて2倍の22,799人の死亡数を昨年出した.男性に多く,40歳以降加齢と共に急増し,60歳台と70歳台が最も多くなっている(表1).
肺がん患者の予後は治療開始時の病期と組織型で決まる.この病期はがんの拡がりを表わすものであり
潜伏期―胸部X線上所見がなく,細胞診のみ陽性を認めるもの.
Ⅰ期―腫瘍の大きさが3cm以下であり,リンパ節転移がないか,あっても肺門リンパ節までにとどまるもの.または,腫瘍の大きさが3cm以上のものでも,肺門リンパ節に転移の及んでいないもの.
Ⅱ期―腫瘍の大きさが3cm以上で,リンパ節転移が肺門リンパ節にまで及んでいるもの.
Ⅲ期―腫瘍が広範な進展を示すか,または胸水,または全葉無気肺の認められる状態か,または,原発腫瘍に関係なく縦隔リンパ節転移のあるもの.
Ⅳ期―原発腫瘍または,リンパ節転移に関係なく遠隔転移のあるもの.と分類される.
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