特集 精神衛生の展開
精神衛生への期待と批判
社会心理学の立場から
早坂 泰次郎
1
Taijiro HAYASAKA
1
1立教大学社会福祉研究所
pp.918-921
発行日 1981年12月15日
Published Date 1981/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206435
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児童生徒に頻発する登校拒否や校内・家庭内暴力,ステューデント・アパシーにモラトリアム現象,ゆきずり殺人,人間蒸発……といった現象が多発するのをみていると,精神衛生問題の重要さが,あらゆる理くつや解説をぬきにして,われわれの胸に迫ってくる.誰の眼にも,これらの現象の底に底知れぬ不安がひそんでいることは明らかであろう.現代は,いいかえればこの大衆(mass)の社会は「不安」の社会である.
このことを社会学的な視点から明確にしたのはアメリカの社会学者リースマン(Riesman,David)であった.彼は名著「孤独な群衆」1)の中で,アメリカ人の社会的性格の歴史的変化について語る.
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