特集 精神衛生の展開
精神衛生への期待と批判
臨床精神医学の立場から
吉松 和哉
1
Kazuya YOSHIMATSU
1
1東京都精神医学総合研究所
pp.927-929
発行日 1981年12月15日
Published Date 1981/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206437
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この主題を編集者から与えられて,私自身実に微妙で,複雑な気持になる.というのは,短期間とはいえ,つい先頃まで私は大学保健学科の精神衛生学教室に在籍していたからであり,また現在或る精神医学研究所の社会精神医学研究室で仕事をしているからである.すなわち私はこの問題を投げかけつつ,また一方でこれに答える側にも立たされているわけである.こうして自分の中で自問自答の対話を,あるいは相克的な2面を経験せざるを得なくなる.しかもこの間題は,自ら最近数年間にわたり,自覚的に考え,更にはそのむつかしさを骨身に染みて体験してきた.まだ十分考えがまとまっていないだけに,このことについてこのような公けの場で述べることを甚だきびしく感ずるのである.そこで今回は自分の中で進行中の問題意識の一端を開陳させていただくことにしたい.
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