特集 悪性新生物の疫学
わが国の悪性新生物の地域特性
柳川 洋
1
,
永井 正規
1
,
橋本 勉
1
,
簑輪 眞澄
2
,
川口 毅
3
Hiroshi YANAGAWA
1
,
Masaki NAGAI
1
,
Tsutomu HASHIMOTO
1
,
Masumi MINOWA
2
,
Takeshi KAWAGUCHI
3
1自治医科大学公衆衛生学教室
2国立公衆衛生院疫学部
3栃木県衛生環境部保健予防課
pp.518-525
発行日 1981年7月15日
Published Date 1981/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206342
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■はじめに
死亡統計,罹患統計によって,わが国のがんの地域差をみると,部位によって全く異なった特徴を示す.がんの発生には長年の生活歴における環境条件,宿主の感受性など種々の要因が複雑にからみあっている.がんの地域差は,それぞれの地域におけるがん対策の浸透度,自然環境,生活習慣,食生活,社会経済条件などの違い,人種差などの影響を受けた結果,生じたものと考えられる.その意味で,がんの地域差のきめ細かな記述を行ない,上述した各種の関連要因との関係を観察することは,重要ながん疫学方法の1つであるといえる.
わが国では周知のごとく世界的にも精度の高い死亡統計が完備されているので,全国レベルのがん地域差を比較的小さな地域単位で観察することが可能である.
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