特集 悪性新生物の疫学
小児の悪性新生物の動向
田口 信行
1
Nobuyuki TAGUCHI
1
1国立小児病院血液科
pp.565-568
発行日 1981年7月15日
Published Date 1981/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206351
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■はじめに
小児には発生過程の異常に関連する胎児性癌や奇形腫群があり,腫瘍の発生部位や組織像,治療に対する反応など多くの点で成人の腫瘍と異なる特性を有するものである.小児腫瘍の病類別頻度や年齢分布を知ることは,診断や発生要因を追究する上に重要である.
第二次大戦後10年間は,小児腫瘍は稀なもの,予後不良なものとして十分な研究・診療も行なわれず,放置されていた感がある.小児悪性腫瘍(悪性新生物)に関する臨床統計も,大学病院の小児科学教室,外科学教室あるいは病理学教室などで,それぞれの施設で扱った資料のみによることが多く,わが国の小児腫瘍の実態については全く不明であった.
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