綜説
乳癌危険因子に関する最近の疫学的知見
山田 裕
1,2
,
William J. Schull
1
,
早川 式彦
3
,
Malcolm C. Pike
4
1放射線影響研究所(広島)疫学統計部
2東京大学医学部公衆衛生学教室
3広島大学原爆放刎能医学研究所疫学・社会医学部門
4南カルフォルニア大学医学部地域医療学教室
pp.173-179
発行日 1981年2月15日
Published Date 1981/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206262
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■はじめに
乳癌の発生には,加齢差(高齢者に多い),地域・人種差(欧米白人に多い),社会階級差(上流階級に多い)が認められ,初潮年齢の低い女性や閉経年齢の高い女性では,乳癌発生率の高いことが知られている.晩婚,寡産女性での乳癌好発は,初回満期産年齢が高いことで説明され,初婚年齢,娩出児数,授乳期間は,危険因子としての意義が少ないとされる.その他の乳癌危険因子として,電離放射線,薬物などが挙げられる.
これらの危険因子は,ホルモン(主にestrogen,prolactin)の発癌作用の面から病因学的に検討され,最近では,栄養や肥満が乳癌発生に及ぼす影響も示唆されている.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.