特集 新生児黄疸.母と子のケア
新生児期早期の黄疸の機序と治療
河野 寿夫
1
1杏林大学医学部教授小児科学
pp.187-191
発行日 2002年3月25日
Published Date 2002/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902830
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はじめに
出生直後の新生児は,「赤ちゃん」と言われるように皮膚は赤く,黄疸は認められない。しかし,大多数の新生児は2〜3日すると徐々に皮膚が黄色くなってくる。新生児の生理的黄疸である。これは,胎児期には,胎盤を介して処理されていたビリルビンが,出生後処理できず血中に存在するため,黄色く見えてくるのである。生理的黄疸は自然に消失し,新生児への悪影響はない。
しかし,黄疸を呈する児の中には核黄疸を発症し後遺症を残すような重篤な例があることから,重症な症例を見出し適切な処置をほどこすことが必要となってくる。核黄疸の症例は多くはないが,黄疸や初期の徴候を見落としたり,十分な治療が行なわれないで発症してしまうと,発症後の有効な治療法はなく重大な後遺症が残ってしまう。それ故,新生児をケアする者は,新生児早期の黄疸には十分に注意を払い,すばやく対処しなければならない(表1)。
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