調査報告
ドライブインを感染源としたD2ファージ型腸チフス菌による腸チフスの集団発生
常盤 寛
1
,
篠原 志郎
1
,
片岡 恭一郎
1
,
乙藤 武志
1
,
簑原 巌
1
,
高橋 克己
1
,
中村 明子
2
1福岡県衛生公害センター保健科学部
2国立予防衛生研究所
pp.673-675
発行日 1979年9月15日
Published Date 1979/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205937
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はじめに
わが国における腸チフス患者発生は戦後,減少の一途をたどってきたが,最近10年間における罹患率についてみても,毎年人口10万対0.3〜0.4の患者発生数で推移し,発生傾向としてはほぼ横ばい状態である.一方福岡県における過去10年間の総患者数は128名で,毎年10〜30名程度の散発的発生が認められ,1977年腸チフス中央調査委員会報告の全国平均と同じく,D2・M1ファージ型腸チフス菌が流行の主流である(表1).ところが本年5月,福岡県筑後地方において,短期間内にD2ファージ型腸チフス菌による15名の患者発生があり,疫学調査の結果,某ドライブインを共通感染源とする集団発生と判明し,腸チフス流行を考察する上で興味ある所見を得たので,その概要を報告する.
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