講座 公衆衛生従事者のための食生活指導・3
食生活の類似性を測るために
丸井 英二
1
1東京大学医学部保健学科・疫学
pp.352-355
発行日 1979年5月15日
Published Date 1979/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205843
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■食生活指導と類似性
社会の変動に伴って,公衆衛生活動およびその一部門としての食生活指導の際に問題となる点が大きく変化してきました.欠乏症から過剰摂取の問題へ,また,緊急を要する食中毒や急性感染症のような"事件"中心から,長期間にわたる観察や調査が必要な慢性非感染症へと重点が移動しています.そうなると,病的状態にある少数の対象だけを相手にするのではなく,健康者が大部分を占める一般の集団に対する調査や評価なしには何も言えない,ということになります.そこで,それに対処するために,新しい方法論や手法が開発され,導入されます.それらを適切に現場で利用していく際には,なぜそのような方法が使われるのか,ということを了解しておかねばなりません.単なる数字の計算に終わらないためには,このような,背後にあって見えない考え方そのものが重要となります.
さて,そこで「似ているか,似ていないか」という問題を取り上げてみましょう.これはもう少し固い表現をすれば,"類似性"の問題であるということになります.私たちは「似ている」,「似ていない」という言葉を,ごく感覚的に日常使っています.これが一体どのような意味と背景を持っており,より客観的な表現をするためにはどうしたらよいか,考えてみましょう.
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