書評
「測りにくいことを測る」への挑戦
友滝 愛
1
1東海大学医学部看護学科
pp.56-57
発行日 2024年2月15日
Published Date 2024/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202174
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Quality of Life(QOL)の評価に関心を持ったときに,ぶちあたる壁があるとすれば,主に,「そもそも『QOLを測る』ってどういうこと?」「どんな調査項目で何を測れるのか?」「QOL測定の計量心理学的な評価って何?」ではないでしょうか。本書は,「臨床・研究で活用できる!」ことに主眼を置いて,この3つの観点がカバーされています。目次に記載されている尺度を数えると,その数46!に上り,「QOL評価を臨床や研究で取り入れたい」と思ったときに,最初に手に取る一冊として最適です。
本書の特長の1つは,上記「どんな調査項目で何を測れるのか?」への答えとして,実際の調査票のサンプルを見ることができる点です。編者の「序」でも述べられていますが,これだけの尺度を取り上げるに当たり,著作権の問題などをクリアしていく作業は非常に大変だったであろうことが,容易に想像できます。本来であれば,活用したい人が(まだ実際に活用するかはわからないけれど)自ら取り寄せるなど,さまざまな作業を要します。また,実際に尺度を使うときには,「尺度が開発された論文の原典を調べる」「スコアリングの方法を確認する」「使用許諾について確認する」といった作業も必要ですが,本書では尺度の使い方とともに,充実した引用文献が提示されています。私たちは本書を通して,本来自分たちでやるべき労力が大幅にカットされる!という恩恵にあずかることができます。
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