特集 地域精神衛生活動
社会復帰医療施設における精神衛生活動—東京都立世田谷リハビリテーションセンター
蜂矢 英彦
1
1東京都立世田谷リハビリテーションセンター
pp.174-178
発行日 1979年3月15日
Published Date 1979/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205796
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■センター設立までの経緯
向精神薬による薬物療法が,身体的治療法の主役を占あるようになってから25年たつ.薬物療法は,要保護患者の減少,短期入院による退院患者の増加,慢性分裂病者の病状改善,病院の開放制の拡大などに示されるように,確かにそれまでの治療法を凌駕する効果を発揮した.しかし,慢性患者の大半は,いわゆる病院内寛解の状態にとどまり,退院患者もまた驚くほど高率に再発・再入院し,予期したほどに社会復帰の実はあがらなかった.昭和30年代の後半に繰り広げられた,精神病院を中心とする社会復帰活動は,以上のような薬物療法の限界を打破するための試みであった.
ここで行なわれた社会復帰活動は,①外勤作業を中心とするナイト・ホスピタル,②病院と一定の企業との契約などによる保護工場,③退院直後の外来患者に対するデイ・ケア,④就労自立を目標にした中間宿舎ないし共同住居の試み,の4型に大別できるが,いずれも病院医療の枠組みを越えるものであり,熱心に取り組むほど病院経営を圧迫するという一面を伴う.より効率的に行なうには,専門の施設が欲しい.社会復帰医療施設(中間施設)への要望は,このあたりから起こったものである1).
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.