特集 地域保健と産業衛生
地域産業衛生における健診機関の役割
戸田 弘一
1
1神奈川県予防医学協会
pp.174-179
発行日 1978年3月15日
Published Date 1978/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205577
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I.産業衛生に関する地域社会のニーズ
大平洋戦争後の急速な産業の勃興と重化学工業化の結果,産業の場における労働者の健康障害が広範囲にかつ数多く発生し,次第に世人の関心を引き始めたが,時も時,例の水俣病が有機水銀に原因するものであることの判明から,世人の眼が一様に,産業の場で使用せられる有害物質に向けられることとなった.
それまで自分の健康を経営者にあずけて,のほほんとしていた労働者は,急に自分の健康のことが不安になり,自分が従事している業務や取り扱っている原材料が,自分の健康とどんなかかわりを持つかについて,あらためて見直して欲しいという強い希望を表明するようになった.なかには,自分の取り扱っている原材料や作業環境によって,今にも自分の健康が障害されるのではないか,と不安を持つものもあらわれてきた.
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