特集 産業保健と専門職の役割
産業保健と専門職の役割
島 正吾
1
Shogo SHIMA
1
1藤田保健衛生大学医学部公衆衛生学
pp.756-760
発行日 1993年11月15日
Published Date 1993/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900909
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■はじめに
産業保健は労働安全衛生法に準拠して,産業現場における環境管理,作業管理,健康管理の3管理と,これらを統括するための総括管理によって構成されている.近年激しく複雑多様化する産業社会の変容をふまえて,こうした一連の健康管理業務を円滑に行い,産業保健マンパワーがより高次の管理成果をあげるためには,各関連部門において専門職としての役割分担の明確化を計り,管理全体の流れの有機的連動を可能にするような,職務能力の充実が計られねばならない.そのためには,まずもって労働者の健康上の歪みを的確に把握し,それらがどのように職場労働環境や日常作業態様によって影響されているかがチェックできるよう,個々の職能や管理体制を確立することが肝要である.すなわち産業保健の原点とは,つねに「労働者の健康を守る」ために,健康問題と労働実態との関連性を問い,それを基本として労働者個人や職場集団の健康に対する,医学的影響を解明するところにある.
ところで,以下にいう産業保健の「専門職」とは,単に企業内で特定の業務に,もっぱら従事している者を指すのではない.
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