日本列島
鶏糞公害と2つの対策—宮城県
土屋 真
pp.637
発行日 1976年9月15日
Published Date 1976/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205268
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鶏糞を有価物とみるか否かで,対照的な処理をした内陸部農村の2養鶏場の話題を紹介します.N農場は86ヘクタールの広大な土地に24万羽もの鶏を飼育,採卵し,雛鳥も含めると平均50万羽の大きな養鶏場です.ここは,ウインドレス方式の密閉された鶏舎内の2階に飼育されている鶏の糞を,下の土壌の床に5年以上も放置して堆積させ,発生する虫で嫌気性に土壌化させる方法をとっています.
ところが最初に建てられた古い鶏舎6棟は道路より低いため,地下水の湧出で,乾燥するはずの鶏糞が養鶏開始以来4年目の今日,堆積した糞の下の方でヘドロ化し,扉を押し破ってあふれ出しました.あわてた会社側は,自分の敷地内ならよいだろうと土壌還元を考えて3号舎の膨大な量の鶏糞を搬出しましたが,梅雨期にブルトーザーで押し出したためヘドロが流出し,ぬかって覆土することもできない状態となったのです.また鶏糞の悪臭と汚水のほかにも,羽毛の飛散,死鶏の処理が住民の苦情となり,問題化しました.
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