特集 公衆衛生への提言
政策・行政
政令市衛生行政の立場から
土肥 四郎
pp.532-534
発行日 1976年8月15日
Published Date 1976/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205237
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はじめに
政令市(昭和20年代),県衛生部(30年〜45年),再び政令市(現在)と,人口規模こそ違え,2度目の政令市ご奉公.幸か不幸か,終戦後の混乱期・復興期ならびに滅速経済期の現在と,公衆衛生行政にとっては恵まれた社会的・経済的背景の中で,勉学し,育まれた30数年.関係者の声には「政令市こそ住民に最も密着したサービスができるのに,政令市発足以降ほとんど実質的変化なし」と決め,きわめて安易にして無責任な評価を下す輩もあるが,住民生活の快適性と安全性確保のため,どんなにか苦心している実相を,どの段階で,どの程度分析した結果を言っているのか,判断と理解に苦しむ1人である.
仮りにもこのような視点に立てば,全国30政令市の存在は,使い古された言葉でいう「中途半端な政令市」としてしか受けとめられず,現に「保健所の在り方」の検討にしても,すべて都道府県保健所単位の尺度で,政令市は別途検討に入るとされ,異和感すらいだかしめる.一般市町村はもとより,最も住民と結びつきやすい政令市サービス機関の衛生行政の強化と抜本的改善こそ,先決ではないだろうか.過去30数年を回顧し,その時々のメモを頼りに,謙虚な反省をこめつつ,恐れながらいくつかの提言に代えてみたい.
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