特集 保健と福祉におけるニードとデマンド
保健計画におけるニードとデマンド
西 三郎
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.304-309
発行日 1976年5月15日
Published Date 1976/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205181
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はじめに
保健計画とニードおよびデマンドとを結びつけて論じる前に,各々の概念を規定しなくてはならない.しかし,各々の概念は必ずしも明確なものではなく,両者を統一的視点で概念規定することは容易ではない.ここでは,計画を未来志向であり,進歩と変革のための道具であるとし,ニードを,ある状態と自己の状態との乖離の主観的または客観的な認識であり,デマンドはその乖離の充足であるとしよう.このように道具の1つである計画に対しては,ニード,デマンドというものは,計画以前の目的・目標に対して関係が深く,その目的・目標の具体化の段階で計画が登場するもので,多少両概念は次元の違うものといえよう.しかし,このような次元の違いのある両者を結びつけた編集委員の意図を推測するに,保健計画の必要が一般に広くいわれているなかで,その計画が実際に国民のニード,デマンドを反映しているのか,また反映させるには,どのような働きが必要かを期待したものと考え,ここに国のレベル,都道府県のレベルに,民間のレベルの保健計画をみてみよう.
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