特集 保健と福祉におけるニードとデマンド
体験的ニード,デマンド論
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.302-303
発行日 1976年5月15日
Published Date 1976/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205180
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今日,社会経済環境の激動と人口・疾病構造の質的変化の中で,日常生活圏的な地域を基盤とした保健(医療・公衆衛生)活動と,このための計画の推進が,政治体制,洋の東西を越えて,先進諸国の切実な政策的,実践的な課題となっている.本誌はすでに10余年来,総合的な保健活動の発展を一貫した主題としてとりあげ,また筆者は,これを歴史的,実践的な観点から地域保健活動として定式化し,計画的に進めることを提唱し続けてきた.
ところで,この課題にとりくむ場合,ひとつの大きな障壁は,この課題が現代の健康と生活に関する科学・技術はもとより,行政・法律・各種活動の集大成ともいうべき内容であり,きわめて多彩な学問分野に結びついているため,関係する術語に共通の理解がなく,特に戦後日本に実体のない外来語が続々と移入された結果,その混乱がますます大きくなっていることである.この種の術語は枚挙に暇がないが,本号では,今日当面している地域保健計画の推進に際して,最も基本的で,かつ実質的に重要なneedとdemandに焦点を当てて特集することとなった.
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