日本列島
米軍基地に起因する公衆衛生問題—沖縄県
伊波 茂雄
pp.613
発行日 1975年9月15日
Published Date 1975/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205075
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沖縄県土の主要部分約12%を占有している米軍基地の存在は,県民生活にいろいろな影響を及ぼしている.そのうち公衆衛生上の問題の主なものとして,麻薬中毒,伝染病(性病を含む),人身障害(交通事故を含む),環境破壊,公害等がある.このうち公害問題が最近大きくクローズアップされてきた.まず騒音については,沖縄本島に存在する4飛行場における航空機騒音が問題となっている.特に本島中部にあるアジア最大といわれる嘉手納飛行場からの騒音は,ベトナム戦争当時は100ホンを越える回数も多く,付近住民の不眠,いらいらの原因となり,健康障害を惹起しているといわれている.県が昭和47年9月20日から24時間測定した結果,70ホンを越えた回数は194回,持続時間合計2時間20分,昭和50年5月12日から24時間測定した結果では60ホン以上が150回を越え,延べ時間数も2時間余となっており,減少傾向はみられなかった.かつて騒音発生の主役となっていたB52爆撃機は姿を消したが,ジェット戦闘機,大型輸送機や偵察機等が発着したり,エンジン調整をしたりする事による騒音は絶える間がなく,法的に規制が困難なところから,県,関係市町村はその対策に苦慮している.
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