特集 環境汚染への対応
京葉地区の大気汚染対策
吉田 亮
1
1千葉大学医学部公衆衛生学教室
pp.588-599
発行日 1975年9月15日
Published Date 1975/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205070
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はじめに
千葉県の大気汚染は,昭和25年千葉市今井町地先に川崎製鉄が誘致されたことに始まる.29年には東京電力千葉水力発電所も進出し,京葉工業地帯の造成が開始された.開発は東京湾に面している浦安町から富津市までの76kmにわたる長い海岸線を計画区域として,60年完成を目途に,約13,373ヘクタールの土地造成を目標に進められている.48年12月末までに全体面積のおよそ70%に当る9,396ヘクタールの造成が完了しており,約1,300社の進出が決定し,このうち900社が操業している.
千葉県における土地造成は,まず進出企業を先に決め,これから埋立必要経費を予納させて工事を進めるいわゆる千葉方式によるものであり,必然的に企業主導型とならざるをえず,工場進出に関して種々の進出企業の恣意を許し,地域住民への環境整備の配慮などは二の次にされてしまった.さらに,日本経済の高度成長とともに急激に開発が進められた.35年2,101億円で全国第17位であった工業出荷額は,47年には2兆8,828億円,全国第8位にまで躍進し,全国平均の76.5%,109,000円にすぎなかった県民人1当りの分配所得は,691,000円,97.2%にまで伸びている.
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