特集 地域看護を考える
精神障害者の地域看護
石原 幸夫
1
1神奈川県精神衛生センター
pp.307-312
発行日 1975年5月15日
Published Date 1975/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205008
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精神障害者地域看護の必要性
病院内看護であると病院外看護であるとを問わず,看護とは,狭くは疾病を対象とした医療行為としての看護から,広くは健康不健康を問わず,人間中心に,対象を全人的に把握し健康のあらゆる側面を一貫して支援する行為としての看護までを意味するものであるとすれば,今日の精神障害者にとって最も待ち望まれているものの1つは,この新しい意味での看護の手が速やかにさしのべられることである.
病院外の精神障害者は,不幸にして今日まで久しく,地域看護の対象から見落されてきた.それにはそれなりの歴史的必然性があった,隔離収容を前提とした精神病院中心主義的な医療状況のなかでは,地域看護の必要性が芽生えにくかったこともその理由の1つであろう.また精神障害そのものが持っている疾病特性とそれにまつわる社会的偏見も地域看護の必要性を遠ざけてきたといえる.
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