特集 地域精神保健活動―医療の質とその周辺
精神障害者の地域リハビリテーション
守田 孝恵
1
,
松井 美帆
1
1山口大学医学部保健学科看護学
pp.112-116
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100561
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地域リハビリテーション(CBR: Community Based Rehabilitation)は,「障害をもつすべての人々のリハビリテーション,機会の均等,社会への統合を,地域の中において進めるための戦略である.CBRは,障害をもつ人々とその家族,そして地域,さらに適切な保健,教育,職業および社会サービスが統合された努力により実践される(ILO. UNESCOおよびWHO, 1994)」と定義づけられている.地域リハビリテーション事業は,多くの自治体で予算化され,保健事業として位置づけられ,展開されている.リハビリテーションの歴史は,戦傷者のADL(日常生活活動)訓練にその源泉があり,その後,当事者の主体性が強調され,障害者運動の活発化といった潮流を経て,その目的がADLからQOL向上へシフトされてきた.また,リハビリテーションの専門家同士の連携の必要性が強調されて,1999年の日本リハビリテーション連携科学学会の設立は,リハビリテーションの歴史的流れを象徴している.
地域リハビリテーションは身体障害を対象とした活動という印象を受けやすいが,視覚,聴覚,知的障害,精神障害など,あらゆる障害を対象としたものである.しかも,他の障害と比較し,その発展の遅れは否めないが,精神障害者の地域リハビリテーションも,授産施設や地域生活支援センターの設立,ホームヘルプサービスの充実など,ここ数年の展開は注目されるところである.
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