特集 地域看護を考える
地域看護の現状と問題点を考える
これからの地域での看護活動を考えて
松野 かほる
1
1国立公衆衛生院
pp.266-270
発行日 1975年5月15日
Published Date 1975/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204998
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はじめに
いま多くの保健婦たちは,本当に保健婦としてしなければならないことは何なのか,地域住民に本当に役立っているという認識が生れるような仕事を……,と切実に願っている.
これは極端ないい方かもしれないが,保健活動がすべてに調法な存在として扱われ,あたかも行政のメッセンジャーのような活動となっている故であろう(もちろん保健婦自からの日常活動の姿勢にも問題はあると思うが…).現在のような保健婦活動は,戦後の混乱した社会情勢や住民の最悪な健康状態に対する危機感から,看護以外の雑多な業務までも背負いこんで懸命に働いたことに端を発し,その後いままで約30年にわたる間に外部のいろいろな状勢に影響されながら形成されてしまったものと筆者は考えている.しかし最近,この状況はまた少しずつ変ってきている.つまり,最近の疾病像の変化や社会情勢等の変化に伴って家庭看護の需要が増大したため,これへの人々の関心が深まるにつれて地域看護活動への期待が強まり,それがさらに保健婦は何をしているのか,看護の本質的な活動をすべきであるなどと,活動の現状を評価するようになってきた.
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