特集 くすりと健康
漢方薬と近代医薬
升水 達郎
1,2,3
,
坂本 守正
4
1城西歯科大学皮膚科
2日大(薬)
3近大(薬)
4城西歯科大附属病院薬局
pp.96-100
発行日 1975年2月15日
Published Date 1975/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204959
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近代医薬と漢方薬を同一の視点から比較し論ずる事は,その基本的考え方1)を異にしているため大変に難かしい.
近代医薬も,その出発は,草根木皮から出発したのであるが,18世紀における,Wöhlerによる無機物からのureaの合成2)が端緒となって,有機化学の研究が進み,1858年Virchowが著した「細胞病理学」,Pasteur,Kochらによる,細菌学の業績により,薬物の作用点を,より根源的なもの,例えば細菌への直接作用といった,研究への方向を取るようになった.Sertürnerは阿片からmorphineを抽出し,その後のalkaloid研究の基礎を作り,多くの天然物成分とその誘導体が商品化するに到った.さらにEhrlich・秦によるsalvarsanの創製(1909年)は,化学療法剤の研究へと進み,その路線は現在の抗生物質の製造に及び,多くの感染症を治癒せしめた.
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