特集 親子
現代親子論
心理学的事例から
権平 俊子
1
1日本総合愛育研究所
pp.522-527
発行日 1974年10月15日
Published Date 1974/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204894
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コイン・ロッカーに乳児の死体が入れられていた.子どもを自動車の中にねかせておき,両親が水泳をしている間に,子どもが死んでいたなど,親が子どもに対して無責任な行動をとって,子どもの命を奪ったような事件が新聞に毎日のように出ている.最近の親は,子どもに対して責任をもたなくなった.親子の情がうすれてきたとなげき,どうにかしなければという識者の声をよく聞く,著者も,こうした事件を聞くにつけ,親がわが子を育てるという当然に思われる行為がうまくいかず,いろいろな問題を起こすということを考えて,なげき,その問題をうまく解決して,親子の幸福を願うひとりではあるが,臨床心理学を専攻していろいろ情緒的に問題をもつ子どもの相談を行なってきた経験から,そう簡単に片づけることのできる問題ではないと思っている.
親子の問題は,一家庭におけるだけのこととして,簡単に解決できるものではなく,その時代の社会の影響を強く受けていることが多い.
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