原著
眼底所見による高血圧対策の効果—特に脳卒中の予測について
新井 宏朋
1,2,5
,
秋山 雅晴
2,4
,
畑 徹
1,2
,
亀岡 智子
2
,
小野寺 公子
1
,
本木 正勝
3
,
市原 龍子
3
,
村山 美千代
4
,
磯崎 徳男
4
,
藤池 久子
4
,
杉浦 武男
4
1千葉大学養護教諭養成所
2千葉大学医学部公衆衛生
3千葉県予防衛生協会
4静岡県衛生部
5順天堂大学眼科
pp.695-703
発行日 1970年11月15日
Published Date 1970/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204173
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はじめに
日本循環器管理研究協議会(会長,小林太刀夫東大教授)では昭和43年度に厚生省の委託をうけて高血圧,動脈硬化性疾患の管理に関する研究を全国的な規模で実施した.この共同研究は管理ニード調査,重症度判定基準,管理方式,管理効果,の4つの小委員会に分かれておこなわれたが,著者らは,このうちの高血圧,動脈硬化性疾患の管理ニードに関する小委員会(委員長,関悌四郎阪大教授)に所属して地域における脳卒中の発生率,有病率の調査を担当した.この調査は,あらかじめ40歳以上の住民全員を対象に血圧,眼底,心電図,尿検査による検診がなされている全国10府県13地区について検診後数年にわたる脳心事故の発生状況と検診時所見との関係を追求したもので,共通の所見判定基準,脳・心事故調査方式による全国的調査としては本邦で最初の試みである.
この共同研究の報告は,すでに2回にわたって公表されているが1,2),特に著者らが担当した静岡県西伊豆地方においては,眼底所見と脳・心事故の関係について,共同研究で計画された範囲をこえたさらに詳細な調査成績がえられている.本報では,これを主題として,高血圧対策における眼底検査の意義について述べてみたい.
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