発言あり
健康・不健康
三宅 浩次
1
,
木下 安子
2
,
西 正美
3
,
松島 松翠
4
,
児島 美都子
5
,
H
,
K
,
N
,
S
,
M
1札幌医科大学
2東京大学
3石川県松任保健所
4佐久総合病院
5日本福祉大学
pp.1-3
発行日 1973年1月15日
Published Date 1973/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204594
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不健康の損失を算出せよ
健康をどのように考えるか,という問題は,健康の定義から始まって,多くの未解決な点を残している.WHO憲章の健康の定義にしても,使われている言葉そのものが,さらにもっと正確に定義されなければならないものばかりで,まだ納得できる定義とは考えられない.その他に,どのような定義が果たして皆を承認させうるだろうか.このような定義上の困難にもかかわらず,人々は健康という概念を暗黙のうちに心の中に抱いている.つまり,健康に関しては学者たちがどうのこうのというよう先に,現実がそこに存在しているのだ.健康問題をもっとなんとかしてくれ,という民の声に対して,健康という怪物はまだ未確認物体なので,もう少々お待ちいただきたいなどといっているその筋のお方はいないと思うが.
さて,ここでは健康を定義したい気持を抑えながら,未定義のままで先へ行くこととする.健康の問題は本来個人の事象に属することであり,公衆衛生学がたとえ集団レベルの健康問題を論じても,結局は公衆一人一人の健康問題に還元されることを目指しているといえよう.以上のことをふまえた上で,次に集団レベルの健康を考えてみよう.集団レベルではできるだけ多数の人々が,健康を保持増進させる施策の恩恵にあずかることが望ましい.その施策をどのように決定するかは,その施策の経費,資源(人的,物的な)などの投入と,その施策による効果との損益勘定が基本となろう.
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