発言あり
性教育
N
,
O
,
T
,
S
,
H
pp.345-347
発行日 1972年6月15日
Published Date 1972/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204483
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
性教育組織のオルガナイザーとしての活動を
最近の「性」についての考え方の変貌は著しく,私生児を堂々と生む歌手さえ出現する時代となった.10年も前には考えられなかった現象である.この性の開放はスカートの丈が短くなるとともに進歩してきたように思われるが,性を神秘なものとして扱う明治以降100年の教えに従順な30歳以上の公衆衛生従事者にとって,実際のところ,若いひとたちの性に対するものの考え方をすぐに理解することは難かしいように思われる.したがって,性教育をどうしたらよいのかという質問を受けるととまどってしまうのである.
まわりを見まわせば,ポルノと称する扇情的な雑誌や映画の氾濫,性をいかに楽しむかを図解入りで詳細に説明する婦人雑誌の洪水.若いひとたちには性についての教育は必要ないようにも思われる.しかし,某電機器具メーカーの未婚女子従業員の性意識調査(前原大作博士)で,性交しても妊娠しなければ処女であると考える女性がかなり多数存在するという事実が判った.女性の「性」についての正確な理解もあまり持ちあわせていない.過多のように思われる性に関する情報も,若いひとたちに正しく伝わっているわけでないという事実こそ,公衆衛生従事者の「性教育」の出発点でなければなるまい.
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.