教室めぐり・32 弘前大学公衆衛生学教室
"開かれた大学"の機能
臼谷 三郎
1
1弘前大学・公衆衛生学教室
pp.449
発行日 1972年7月15日
Published Date 1972/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204507
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本講座は昭和34年4月に開設され,長崎大から中村正先生が着任され教室を主宰せられたが昭和42年8月,再び長崎大衛生学教室主任として転ぜられたため筆者が後任を命ぜられて現在にいたっている.
開設当初は,いまだに笑い草になるのだが,市内の有名な文房具屋の店員が,請求伝票の宛先に"口臭衛生学様"と書いて持参したくらいだから,この方面の知識水準は推して知るべしであった.市民からは便所の汲取り依頼や鼡とりの相談をうけたりして奇談,珍談がたえなかったのである.さし当たり保健所の分家が大学にできたくらいにうけとられていたらしい.それが最近になると公害ブームのためか,保健所では納得のいく答がえられないからという前置きで,飲料水中のMnの意義や,残留農薬の許容量の算定方法などという高度な知識について問合せがくるようになった.世の進歩の速さに驚かされるとともに,日々に新たな情報を的確にとらえ,これを社会に還元しなければならない責務を痛感させられている.
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