特集 保健所改革のポイント
地域のなかの保健所
ポイント7 市町村と保健所—健康と自治をとりもどそう
西 正美
1
1石川県松任保健所
pp.540-541
発行日 1971年9月15日
Published Date 1971/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204330
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市町村と保健所の関係を論ずる前に,保健所が住民の健康を守るなかで果すべき役割が明確にされなければならない.しかし現実にはその基本的性格があいまいなままに放置され,やれ母子保健だ,やれ結核だ,防疫だ,はては公害だといった具合に業務の未整理のままに積み上げられてきた.それが市町村,保健所,都道府県の間で責任のなすり合いになったり,また住民の要求に対応するのに,必要以上に複雑な形を示すはめになっている.
公衆衛生のなかで,保健所をどのように理解するかによって,市町村と保健所の関係についての考え方もいろいろ変ってくる.健康に関して各公共体や個人の責任についての基本的な考え方は,全国保健所長会の「保健所のあり方について」(1971)に示されている.これはことさら新しいものではなく,民主主義と地方自治の基本を素直に見なおしたに過ぎないが,この基本的な考え方を無視しては公衆衛生を住民のものにするための各部局の役割があいまいになってしまう.
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