特集 保健・福祉の新たな関係—概念を中心に
保健所,市町村での具体的な展開
岩永 俊博
1
,
星 旦二
2
1国立公衆衛生院疫学部
2国立公衆衛生院公衆衛生行政学部
pp.104-107
発行日 1993年2月10日
Published Date 1993/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900642
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はじめに
高齢化社会の到来への関心の深まりとともに,保健と福祉の関係についてもさまざまな表現が用いられるようになった。保健福祉の連携,統合,融合,あるいは予防福祉など,具体的な展開やシステムのあり方,さらには保健,福祉のそれぞれの目指すところなどの議論を深める間もなく,概念や言葉が先走っていく。しかも,そのような概念から導き出される具体的な活動のほとんどはサービスの提供であり,提供すべきサービスの調整である。現在検討されつつある保健福祉計画も,その中心課題はサービスの提供である。本来,保健活動や福祉活動は,サービスの調整や提供だけではないはずである。
また,連携という言葉を使うためには,そこに役割分担が必要になる。役割分担が明確になるためには,保健,福祉のそれぞれの目的や機能の,独自の部分と共通部分とが明確にされる必要がある。つまり,共通目的と役割分担というキーワードが出てくる。統合ということになると,それらがより明確でなければならない。
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