研究所総点検・4
国立衛生試験所—100年の伝統の上に新たな衛生試験所構想を
川城 巌
pp.500
発行日 1971年8月15日
Published Date 1971/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204317
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沿 革
明治維新の直後,外国から物心両面の文化が恕濤のごとく流入してきた当時は,わが国の医薬品も少数の和漢薬を除けば,ほとんどがいわゆる洋薬と称する輸入品で占められていた.しかし,これらのものは玉石混淆で,なかにはその品質が粗悪であったり,膺造物であって,ために悲惨な中毒患者も著しく発生するというような状態であった.そこで当時の政府は国民が使用する医薬品は,まずその品質を自己の手で確かめるべきであるとの信念をもって,1874年(明治7年)当時の文部省のもとに司薬場なるものを東京,大阪,横浜などに設置し,主として輸入医薬品の試験を行なうことになった.
その後,司薬場は衛生試験所と改称され,内務省所管となったが,その後,横浜を除く東京と大阪衛生試験所は厚生省に移管され第二次大戦まで発展的に業務を続け,食品衛生の分野までも担当した.しかし大戦中の爆撃により東京,大阪両試験所とも灰燼に帰し,業務も麻痺状態に陥ったが,昭和24年東京試験所は世田谷区上用賀の現在地において国立衛生試験所と改称,大阪は同大阪支所として再起した.
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