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■はじめに
現在,厚生労働省では新たな地域医療構想の内容について検討が行われており,2027年度からの実装を目指して,2026年度の早い段階でガイドラインが提示される予定となっている.図表1は地域医療構想の検討過程を示したものである1).重要なポイントは各種データに基づく各構想区域の医療介護ニーズの現状把握と将来予測,そしてそれを前提とした自施設の地域におけるポジショニングの明確化である.地域医療構想調整会議の場でどのような議論と調整が行われたとしても,機能の選択とそれに対応した経営の実践は各施設の自主性に任される.ただし,後述のように今後医療サービスの主たる利用者である高齢患者の多くが医療介護生活の複合ニーズを持っていることから,単独でそのニーズに応えることは難しく,地域単位での連携体制の強化が求められる.したがって,各施設の機能選択は地域連携を前提としたものになる.
図表2は厚生労働省が提示している各病院が選択すべき病院機能のリストである1).病院が各施設で担う役割は多様であり,それ故に,各施設はそれぞれの状況に応じて複数の機能を選択することが可能である.大病院が複数の機能を選択することにより地域の中小病院の経営を圧迫するという意見や,複数の選択をした結果,各施設の機能が不明瞭になるという批判もあるが,それぞれの病院の持つ機能には濃淡があり,それにより機能の部分的な重なりが生じ,サービスの包括性が高まると考えた方が良いと筆者は考えている.
厚生労働省の委員会における議論の場では,急性期拠点病院について,人口規模との関係でその数が例示されたことで,特に地方都市の病院関係者の間で動揺が生じている.具体的には,急性期拠点病院を人口30万に1カ所という例示である.この規模の中核都市には複数の200床以上の急性期病院が存在することが多く,経営母体の違いもありその統合・集約化は容易ではない.地域によっては,建て替えなどと連動して統合され,名実ともに急性期拠点病院となる場合もあるが,多くは病院自体が急性期と包括期のケアミックス病院になっていくのではないかと筆者は予想している.
具体的には2026年度の診療報酬改定で新設された「急性期病院B一般入院料」を選択した上で,地域包括ケア病棟を併設し,高齢者救急も含む救急に対応する一般病棟のケアミックス病院が増加すると予想している.また,がん診療や手術については,麻酔科医や放射線科医などの中央診療部門の整備が働き方改革や専門医制度との関連でポイントとなり,集約化が進んでいくだろう.

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